同性婚は許されても、同姓強制婚はいいの?2021/06/28 19:42:15

 2021/6/24の毎日新聞夕刊で、「LGBT法案、五輪直前の棚上げ ロバート・キャンベルさんに聞く」という記事を読んだ。

 条文案に野党の要求で追加された「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言などに、自民党内で反対する意見が出て議論が紛糾し、自民党は審議日程を理由に提出を見送りました。「いかなる種類の差別」にも反対する五輪開催の直前なのに。
 (中略)広い視点で見れば日本の国益にとってプラスになる機会を、またしてもドブに捨てる選択を政治家たち自らがしているようにも思うのです。


 本当にそうだと思う。全く異論はない。
 だが、前日の毎日新聞の記事である「夫婦同姓、再び「合憲」 別姓「国会で判断を」などを見ると、その扱いの差に大きな差を感じて、悲しくなる。
 それも、LGBTについては、“今年の3月には札幌地裁が同性同士の結婚を認めない現行制度を「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反していると認定”されているのである。
 夫婦別姓なんて、結婚の時の姓をそのまま名乗るだけの話なのに、法の下の平等に違反していると言われないのだ。

 夫婦別姓は、制度上の問題だけなのかもしれない。
 通称使用が許されているから、仕事上等の問題が解決すれば、気にしない人もいるのかもしれない。
 そもそも婚姻届を出さなければ、解決すると思われているだけだからなのかもしれない。
 世界的には、夫婦別姓なんて、普通に認められているところもあるから、日本だけの問題は重要視されないのかもしれない。
 それに比べたら、LGBT問題の話は、世界的な課題だったり、命の問題だったりしているから、重要度が違うと思われているのだろう。

 記事の中で、こんなことも書いてあった。

 法案については、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟が6月3日に声明を出しました。「あらゆる人々が社会において活躍できる環境の整備という点で大変重要な位置付けをなしている。日本の企業におけるイノベーションを促進し、世界に対して優位な競争力を発揮するため、与野党の枠を超え、あらゆる性的指向・性自認の人々が安心して暮らし、活躍できる社会づくりに全力を尽くしていただきたい」と呼びかけています。理解増進は国際社会の中での日本の利益になる、との認識です。
 また、セミナーの開催や会員企業への啓発、民間発行のパートナーシップ証明書普及の取り組みなどの活動を尊重し、民間企業主導による「ダイバーシティー・インクルージョン(多様性と包摂)」の推進にも一層取り組む、とも明言されました。ビジネスに立脚した具体的な姿勢を評価したいです。誰もが暮らしやすい社会に向けて一里塚を作っていく、という意見の表明です。


 夫婦同姓強制の問題では、サイボウズ社長の青野慶久さんが、よくご自身の苦悩を話されてはいるものの、このような声明が出たことはない。
 通称使用は許されていても、健康保険、今ならマイナンバーだって、変更されてしまうだろう。
 会社としては、“使ってもいいけど、法が許す範囲だからね”としか対応してくれないのは、なぜなのだろう?
 私は、婚姻届を出した時、会社の人に健康保険の変更届を出すように言われ、「なぜ(姓を)変えなくてはならないのか」と聞いたら、「なぜ(姓を)変えたくないんだ?」と鼻で笑われたことがあるが、それって、LGBT当事者の苦悩に比べれば、たいしたことじゃないのだろうか?

 結局、日本では、夫婦別姓問題は、“女性差別撤廃”の指摘事項であることからして、男女差別の問題として扱われるのであり、LGBT問題は、世界的に“人権問題”ではあるものの、たまたま自民党員に、有名な同性愛者がいないからなんだと思う。

 今後も「相手の姓に変えられて幸せ」と姓を変えるのも、「変えたくないのに変えざるをえない」と泣くのも女性の方が多い状態が続く限り、根っこが男女差別である以上、最高裁は、国会に丸投げしかせず、国会は“絆がなくなる”だの“子どもがかわいそう”だの、論点のずれた話しかしないだろうし、LGBT問題は、今後、稲田氏あたりが、若者らに人気がある同性愛者を見つけてきたら、自民党はコロッと態度を変えるだろう(“基本的人権を国民に与えるなぞ間違いだ”などと豪語する人間を絶対に私は認めないが、最近はみんな持ち上げるよね)。

 LGBT法案は通さないといけないと思う。
 でも、夫婦別姓法案が通らない限り、先に通ってほしくない、と思ってしまうのも事実だ。

 何より、LGBT当事者に聞きたい。
 「同性婚が認められた時、あなたは同姓の強制には賛成なんですか?」と。

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